借りることへの考えの変化

15年も前だろうか。上京してアパートを借りるために、アコムで20万円ほど借りたことがある。

そのころは貸し金業者が、イメージ戦略として明るいCMを多く打ち出したころだった。私自身も殆ど考えず、「半年もあれば返せるだろう。少額ではなく一気に返せば金利もそれほど付かないんだし」などと気楽に考えていた。

初めのうちは、月に5万円など多めに返して残金は10万まで減った。しかし、そこから医者にかかるようになったり、彼女が出来たりで、返済をアコムから借りた金で行うようになってしまった。

こうなると、元金は一気に増えていく。金は「返すもの」というよりも、「コントロールするもの」という考えに変わっていたのだ。ちまたに溢れていたビジネス本もそれを助長していたように思う。

お金やリスクはコントロールするものであるというような本が多かった。もし、カードがなければ、手元に金がないわけだから、使うべきときに使えないということが起こる。

それこそが自分にとっての不利益だと思い込んでいたのだ。ATMというものの存在も大きかった。人に会わずに借りることができる。これは心理障壁をなくす怖い仕組みだ。

そして、あるとき、ふと気付いた。「何もせずに私を働かせて金を受け取るだけの人々がいる」ということと、「ATMのまえで、毎月毎月惨めな気持ちになっている自分」というものに。それから、半年で全額を返済した。

一時期は50万円まで膨らんだ元金は、初めに20万円を借りたときから2年半後にやっとなくなった。返したその日に、アコムのカードをハサミで切り刻んで捨てた。

何事もコントロールされるべきだ。しかし、どうコントロールするのかということも、大切だと思い知った。

そして、コントロールできない人間は誰かに搾取されると言うことも学んだ。それが私の金を借りるという体験談だ。